「・・・・・で、ここがこうなる。わかった?」
「・・・・・ごめん、今のもう一回」
山元竜一、本日十度目のため息。
ここは天才てれびくんMAX略して天てれ(MAX)の控え室。
竜一とちひろは向かい合わせに座っていた。
・・・ノートと問題集ののった机を挟んで。
「・・・・わかった?」
「・・・・意味わかんない・・・・」
「あのねぇ・・・ちーちゃん、何回目?」
「えっと、三回目??」
「違う、十一回目」
山積みになったちひろの宿題。
竜一からすれば、なんだこのふざけた問題。といった問題ばかり。
しかしうっかりそれを口に出してしまったため、手伝わされるはめになった。
「あーもうっ、山ちゃん教え方悪い!!」
「俺のせいかよ!」
「あー、さゆちゃんに教えてもらおうかなぁ・・・」
たぶん、無理だろ。小百合もいい迷惑だ。
そんなこと口に出せば暴行加えられること間違いなしなのだが。
まったく最近の小学生は。
こんなの俺が小5のときに習った問題じゃんか。
なんで小6に繰り上がってんだよ。
竜一はそんなことを考えながら、問題集を眺める。
「・・・・ちーちゃんさ、バカ?」
「・・・・殴るよ?」
ぷぅっと頬を膨らませるちひろ。
自然に竜一の顔に笑みが生まれる。
かわいいなぁ、なんて。
そんなことをつい思ってしまう。
誰もいない、ふたりっきりの控え室。
こんなオイシイ設定、あっていいんだろうか?
そう考えれば、宿題手伝うくらい容易いこと。
何時間でもいい、ふたりでいられるなら。
「・・・あー、わかった!!」
「はい、じゃぁ解いて解いて」
気持ちとは裏腹の態度。
これが竜一なのだから仕方ない。
「じゃ、ちょっとトイレ行ってくるから」
「は〜い、山元センセ〜」
なんじゃそりゃ。
心の中で突っ込みながら、竜一はトイレへ向かう。
・・・・・のは、よかった。
思いもしなかった。
「・・・・嘘だろ・・・」
なんでこんな短時間で寝れるんだ、この女・・・。
トイレへ行った数分、ちひろはぐっすりと眠っていた。
の●太くん(CMドラ●もん)もびっくりである。
竜一はため息をついて、先ほど座っていた椅子に腰掛ける。
すやすや眠るちひろの髪に手を伸ばす。
丁寧にふたつに束ねられたサラサラの髪。
じーっと見ていると、やっぱりこの人は可愛い。
「・・・襲うぞ、お前」
そんなこと全く聞いていないのはわかっていたが。
理性を抑えられるかどうか、自分でもわからない。
むしろヤバイかもしれない。
「・・・・寝るのが、悪いんだぞ」
「んー・・・・」
「何寝てんだよ」
「眠かったんだよ〜・・・昨日徹夜だったんだもん」
それでまだできてないのか。
しかし、まぁ・・・・。
「ちーちゃんの寝顔、ばっちり見させてもらったよ」
「え、うそ?!」
「当たり前じゃん、寝てたんだから」
「何見てんのさー!!なんかヘンなことしたわけ?!」
「大丈夫、興味ナイから」
「どーいう意味よ!!!」
そんなことは、ない。
むしろ手を出してしまったのだから。
跡形なんて残ってないだろう。
しかし竜一の唇には、しっかりと残っている。
ちひろの額の感触が。
悟られないように。
まだこの関係を壊したくないから。
思いを伝える気はない。
だけど、俺は。
「・・・・・好きかも」
「・・・・・何が?」
勿論、君が。